CUGA®(「クーガ」と読む)シークエンシングシステムとは、転写反応をおこなう際のRNA合成を塩基配列決定に応用した「転写シークエンス法」を弊社が独自に製品化したものです。転写シークエンス法の原理は、DNAポリメラーゼを利用したSanger,F.らのジデオキシターミネーター法に基づいたものですが、RNAポリメラーゼを使用することで、従来のシークエンス法にはない、多くの利点があります。




 1.PCR産物を精製することなく、そのままシークエンス反応への持ち込みが可能

 従来のDNAポリメラーゼを用いたシークエンス法では、鋳型DNA調製の際、PCRとシークエンス反応の両方で2'-dNTPを基質として用います。したがって、鋳型DNA調製のPCR反応液を用いてシークエンス反応をする際、多量の未反応分の2'-dNTPやプライマーがシークエンス反応の障害となるため、シークエンス反応前に必ずゲル濾過等の精製操作を必要としてきました。
 転写シークエンス法では、シークエンス反応はRNA合成を基本としているので、基質として2'-dNTPを取り込みません。したがって、転写シークエンス法では、PCR産物を精製することなく、PCR反応液をそのままシークエンス反応に使用することができます。


表1:転写シークエンス法とサイクルシークエンス法の比較
  転写シークエンス法 サイクルシークエンス法
酵素 RNAポリメラーゼ DNAポリメラーゼ
鋳型DNAの状態(反応時) 二本鎖DNA 一本鎖DNA
反応条件 37℃,60分間 複雑な温度設定,2〜3時間
酵素の認識配列 プロモーター配列 プライマー結合部位
反応基質 rNTP
3'-dNTP
2'-dNTP
2',3'-ddNTP


 2.従来法では解析困難であった塩基配列に対して解析が可能

 従来のDNAポリメラーゼを用いたサイクルシークエンス法では、シークエンス反応開始の際、DNA合成開始に不可欠なプライマーをアニールさせるために二本鎖であった鋳型DNAを一本鎖に変性します。このため、GC含量が高い鋳型DNAや短い繰り返し配列を有する鋳型DNAでは、一本鎖になると高次構造を生じ、この高次構造がDNA合成をする際の阻害要因となっていました。
 転写シークエンス法では、RNAポリメラーゼによる転写反応を利用しているので、鋳型DNAが高次構造の取りにくい二本鎖のままで、GC含量が高い鋳型DNAや短い繰り返し配列を有する鋳型DNAでも解析可能です(図2参照)。

両シークエンス法による難解読鋳型解析の比較を、アニメーションでご覧になれます。アニメーションをご覧になるには、Flash Playerが必要です。




 3.37℃、60分間での反応が可能

 従来のサイクルシークエンス法では、<変性−プライマーアニール−伸長反応>を繰り返しおこなうので、サーマルサイクラーを用いて、それぞれに異なる温度設定が必要な上、反応時間も約2時間要していました。
 転写シークエンス法では、反応時に温度の上下を必要とせず、一定温度(37℃)、短時間(60分間)で反応が済むので、等温設定のできるインキュベーターさえあれば簡単にシークエンス反応をおこなうことが可能です。



 さらに、弊社が独自に開発した転写シークエンスシステム「CUGA®シークエンシングシステム」では、転写シークエンス用のRNAポリメラーゼとして「CUGA®3RNAポリメラーゼ」、「CUGA®7RNAポリメラーゼ」の2つの変異型RNAポリメラーゼを用いることで、鋳型DNAの両端に導入されたそれぞれT3プロモーター、T7プロモーターを起点に両端からのシークエンシングが可能です。したがって、サイクルシークエンス法で解析したデータの確認作業を、それとは異なる原理の転写シークエンス用RNAポリメラーゼである「CUGA®3RNAポリメラーゼ」、「CUGA®7RNAポリメラーゼ」で解析することにより、データの正確性が飛躍的に高まります。
 しかも、従来のDNAシークエンサーを用いて解析することができますので、特別な装置は一切必要ありません。
 また、弊社では、CUGA®シークエンシングをおこなう上で不可欠なプロモーター導入に関するアプリケーションもご用意しています。



CUGA®は、株式会社ニッポンジーンテクの日本における登録商標です。


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